新規サービス立ち上げを支えた、データ活用と部門横断連携の高度化

ー dポイントマーケットの立ち上げ初期におけるチームのミッションと、当時の組織・データの状況について教えてください。

井上様:dポイントマーケットは、ドコモが、1億人の会員基盤を有するdポイント経済圏を起点に、いつものネットショッピングでよりお得にポイントを貯められる体験を提供する新サービスとして立ち上げました。このプロジェクトを推進するため、私たちのチームではサービス企画から加盟店開拓の営業、基盤開発、オペレーション、マーケティングにいたるまで広範な業務をカバーし、密接に連携しながらシナジーを発揮することがミッションとなっていました。

しかしながら、リリース直前にプロジェクトへ参画した当時、サービスリリースを控えた立ち上げフェーズでは、事業成長に向けてデータをどのように活用し、どの指標をもとに改善を進めていくかを、システム要件と連動させながら具体化していくことが重要でした。werollのメンバーには、現場ヒアリングを通じて事業課題を整理いただき、KPI設計からダッシュボード構築に至るまで、実務に即した形で伴走いただきました。新規立ち上げ期であるため、対前年比などの比較対象データもなく、事業の立ち上げ状況をより的確に把握する必要性を感じていました。

株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー コンテンツサービス部 コマース室 コマース戦略担当主査 井上広平様 井上 広平様
株式会社NTTドコモ / コンシューマサービスカンパニー コンテンツサービス部
コマース室 コマース戦略担当主査

ー 加盟店開拓や運用の現場では、どのような課題が生じていましたか。

山崎様:掲載に向けた加盟店開拓を進める中で、情報収集から管理、運用までを一貫して支える仕組みの整備が急務でした。リリースまでの限られた期間で、手作業や個別調整に依存しすぎない運用フローを構築する必要がありました。

株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー コンテンツサービス部 コマース室 コマース戦略担当 山崎賢人様 山崎 賢人様
株式会社NTTドコモ / コンシューマサービスカンパニー コンテンツサービス部
コマース室 コマース戦略担当

変化を前提にプロセスを共に描く、実効性のある伴走体制の選択

ー 初期段階でwerollが参画した際、前計画の調整やUIデザインの効果計測設計の検証など、ビジネスと開発を繋ぐ部分で多くの課題が山積していました。実際にプロジェクトが動き出すにあたり、山崎様はどのような課題感を持たれていたのでしょうか。

山崎様:我々は「変わり続ける前提に耐えられる体制」を求めていました。法人顧客管理や情報収集の仕組みについて、当初は多種多様なSaaSの導入も検討しました。しかし、「導入段階でどのような項目を管理すべきか、将来の変更点が見え切っていない」という懸念がありました。初期フェーズで要件が固まり切らないまま個別開発を進めると、仕様変更や追加対応のたびに開発・保守運用コストが膨大化し、事業検証のスピードを損なうリスクがあります。加えて、大規模サービスとして求められる厳格なセキュリティ要件や個人情報保護のルール、景品表示法の遵守など、法的な実務要件にも柔軟に対応していく必要があります。そこで、後から実務ニーズに応じて柔軟にカスタマイズしやすいHubSpotを採用し、その上でツールの提供だけではない、現場が使いやすい運用のプロセス自体を共に描いてくれるパートナーを探すことにしたのです。

ー 数ある候補の中から、werollをパートナーとして迎えられた決め手は何でしたか。

山崎様:単に言われた仕様書通りにHubSpotを構築して終わりという開発会社ではなく、「ドコモ側の業務プロセス全体を見て、将来的にどう運用すべきか」を提案できる伴走力があった点です。werollさんはビジネスそのものを深く理解されており、実務全体の効率化を見据えたアドバイスや運用サポートをいただけるのが大きな強みでした。

ー 井上様は、パートナーとの連携において何を重視されていましたか。

井上様:指示した通りにダッシュボードのグラフを作成するだけの作業代行ではなく、私から投げかける問いや事業の課題意識に対し、技術的な知見とビジネス視点を持って打ち返し、提案を自律的に広げてくれる専門家を探していました。

KPIの再構築と、現場の行動を変えたキャンペーン粗利の可視化

ー 巨大組織のプロジェクトでは、単にデータ仕様を整備するだけでなく、組織内の力学や「歴史的経緯」といった独自の文脈(コンテキスト)を把握することが実効性のあるシステム運用に不可欠だと感じています。werollが参画して共にKPIの再定義やダッシュボード構築を進める中で、井上様はチームやデータ活用の変化をどのように感じておられましたか。

井上様:まず、ダッシュボードの目的や活用方針を改めて整理し、チーム全体の共通言語となるKPIツリーを再設計しました。当時は一時的な集客数ばかりが注目され、事業の継続性を支える「粗利」や「利益」を把握する仕組みがありませんでした。事業の継続的な成長に向け、関係者と議論しながら、粗利や利益などの事業指標も含めた可視化を推進しました。

Snowflake上の利用ログと、複数の複雑な施策・キャンペーンデータを結合して粗利を算出することは、クエリの複雑性が非常に高く、実装には一定の難易度があると考えていました。しかし、werollのメンバーはデータマートの構築とクエリ処理を最適化し、想定以上のスピードで、実用的なTableauダッシュボードを構築いただきました。結果として、キャンペーンごとの採算性や施策効果を把握し、改善に向けた議論がしやすくなり、現場のメンバーが自走的にキャンペーンの採算性やUIの改善を議論する行動変容が生まれました。

インタビュー風景

ー システムトラブルや運用の調整においても、困難を乗り越えた場面があったそうですね。

山崎様:リリース前には、外部システムとの連携や運用設計において、関係者間で細かな調整やデータ整備が必要となる場面もありました。その際、実務に即したデータ整備や連携設計について、werollのメンバーから丁寧に支援いただきました。結果として、安全性と実務スピードの両立に向けた運用基盤を整えることができました。

また、HubSpotの活用にあたっては、情報管理の観点にも配慮しながら、実務に即した運用ルールを整備しました。この点も、werollのメンバーとともに情報管理に配慮した運用ルールを整えることで、実務上の使いやすさとの両立を図ることができました。こうした共創体制があったからこそ、想定を超えるスピードと安定した運用を両立できたのだと思います。

意思決定の迅速化がもたらす、さらなるLTV最大化への挑戦

ー werollとの取り組みによって生まれた、もっとも大きな成果を教えてください。

井上様:従来の体制では、データ抽出の依頼からUIデザインの変更・反映までに、最大で3週間近いタイムラグが発生していました。それが今では、werollとの協働チームが分析からデザイン変更案の提示までを一気通貫で推進してくれます。Snowflakeのデータをその場で解析し、ビジネス視点を取り入れた具体的なUIデザイン案をその場で提示してくれるため、日々の意思決定をよりスピーディーに進められるようになりました。

インタビュー風景

井上様:また、データ基盤の最適化を図り、クエリ処理に伴うインフラコスト(クラウド従量課金)の抑制を見据えたデータ分析設計まで提案いただける点も非常に助かりました。関係者間の調整負荷が軽減されたことで、チームがより付加価値の高い業務に注力しやすくなり、メンバーに「新しい挑戦に取り組む余白」が生まれました。この生まれた余白の時間を活用し、CRM(メールマガジンのシナリオ配信自動化)の高度化や、LTV最大化に向けた中長期的な戦略立案といった、より戦略的・創造的な業務に時間を使えるようになっています。

インタビュー中の井上広平様と山崎賢人様の様子

ー 今後の展望について教えてください。

山崎様:変わることを前提とした柔軟な業務プロセスと、情報管理要件に配慮したHubSpot運用設計が確立できたことは、チームの大きな資産です。今後のシステム仕様の変更や市場環境の変化に対しても、柔軟に対応しやすい運用基盤を整えることができました。

井上様:今回の取り組みを通じて、データを可視化するだけでなく、それを現場の意思決定や改善アクションにつなげることの重要性を改めて実感しました。werollさんには、私たちの事業背景や現場の課題を深く理解し、実務に即した形で伴走いただきました。この経験は、今後ドコモ内で新たなサービス企画やデータ活用を進めていくうえでも、活かせる知見になると考えています。