多様化するニーズに対応するには不十分だった、専門性とスピード感

- 本日はよろしくお願いいたします。まず、皆様が担っている業務とミッションについて教えてください。

加藤様:私たちは2025年7月からマーケティングメディア部という新たなチーム体制となり、現在は主にレコメンドシステムの基盤運営を担当しています。その役割は、NTTドコモの主要メディアのひとつ「dメニュー」で、レコメンド機能の企画と開発を進めること。チームのミッションは、レコメンドをさらに高度化し、お客様一人ひとりに最適な情報を届けることです。興味や関心に合わせた情報を的確に提供することで、より高いエンゲージメントにつなげています。メディアにおけるレコメンドの重要性は年々増しており、当社でも優先度の高いテーマとして積極的に取り組んでいます。

株式会社NTTドコモコンシューマサービスカンパニー
                マーケティングメディア部メディア基盤基盤運営担当課長加藤素子様 加藤 素子様
株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー マーケティングメディア部
メディア基盤 基盤運営 担当課長

ー弊社の技術支援を導入される前、dメニューのレコメンドシステムはどのような体制で運用されていましたか?

加藤様:当時は社内の企画担当が数名と、外部の開発ベンダー様が中心となって運用していました。日々改善は重ねていたものの、お客様のニーズはどんどん多様化しています。スピード感をもって抜本的な改善策を実行しなければ、他のメディアに追いつくことは難しい。そうしたなかで、専門性と迅速さを兼ね備えたリソースは、正直なところ社内だけでは十分ではありませんでした。

ー当時はどのような課題がございましたか?

加藤様:最大の課題は、スピード感を持った開発ができなかったことです。開発に時間がかかってしまうと、試してみたいアイデアや試作があっても、すぐに実行に移すことができません。迅速に回したいPDCAサイクルも、思うように進められない状況でした。さらに、ドコモ社内ではシステム面や個人情報の観点から必要な社内調整も多く、そこにも多くの時間を要します。だからこそ、開発においては、よりスピード感を持って取り組める環境を整えたいと考えていました。

施策反映のスピードアップによる、PDCAの高速化とユーザー体験の充実

ー課題に対し、数ある選択肢のなかから外部の専門家による技術支援を検討された経緯をぜひお聞かせください。

工藤様:もちろん、現体制の社内リソースのみで解決を目指す選択肢もありました。ただ、最新の機械学習技術や業界トレンドは日進月歩で変化しており、それらを社員だけで迅速に取り入れ、成果につなげていくのはやはり難しい。そこで、外部のスペシャリストの力を借りることが最善と判断しました。

株式会社NTTドコモコンシューマサービスカンパニー
                マーケティングメディア部メディア基盤基盤運営担当主査工藤淳平様 工藤 淳平様
株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー マーケティングメディア部
メディア基盤 基盤運営 担当主査

ー最終的に弊社をお選びいただいた決め手や、弊社のどのような点が高評価となったのか教えていただけますでしょうか。

工藤様:最終的にwerollさんにお願いする決め手になったのは、ご提案の的確さとその提案力でした。私たちのビジネス課題やシステム面の問題だけでなく、その背景にある潜在的な技術面まで深く理解し、最適な人材と共にご提案いただけたことが大きかったです。

ー具体的なエピソードがあれば教えてください。

工藤様:最初は、dメニューのプッシュ通知のパーソナライズ化から関わっていただいたかと思います。ミーティングのなかで、当初から最新のトレンドや技術を積極的に提案してくださる姿が印象的でした。また、人材として高いコミュニケーション能力を持った方が複数いらっしゃったことも、とても心強かったです。
他社さんであれば、その与件の難易度から「条件に合う人材がなかなか見つからない」とお断りされることもあります。でもwerollさんであれば、豊富なネットワークを活かして最適な人材を探し出してくれる。状況や課題に応じた人材のご提案力も大きな魅力です。

ー今回の弊社からの技術支援によって、導入前の課題はどのように解決・改善されましたか?

工藤様:大きいのは、課題に感じていた施策反映のスピードが格段に向上したことです。企画から始まり、実装、効果検証といった複数のステップを踏む必要がありますが、私たちが苦手としていたアジャイル開発でご対応いただくことで、その全てが早くなったと感じています。その結果、以前は数か月単位でかかっていたものが、今では数週間ほどで試せるようになりました。それほどのスピード感にまで向上しています。

ーレコメンドシステムの改善によって、どのような効果がありましたでしょうか?

工藤様:まず定量的な成果として、クリック率の改善がありました。加えて、ユーザー体験を向上できたことも大きな成果だと考えています。dメニューのチームとしては、ユーザー体験を高め、粘着性のあるメディアに成長させることが大きなテーマになっています。
例えば、ユーザーが複数回閲覧した記事をレコメンドから除外するという取り組み。これ自体は一般的なアイデアかもしれませんが、以前は様々な事情から、実現が難しい状況でした。そこにwerollさんが加わったことで、新しい基盤を構築し、記事の除外の機能も短期間で実装できました。お客様が常に新しい情報に出会える環境が整ったことにより、サービス全体の満足度向上にもつながっていると感じます。

ーサービス導入後、現場の皆様や関連部署の方々からは、どのような声や反応がございましたか?

工藤様:dメニュー担当者からは、技術的に高度な施策にも積極的に取り組めるようになったという声が多く寄せられています。
例えば、昨年度リリースした「dメニューのニュース記事レコメンド機能」がその一例です。ユーザーが読んだ記事の特徴と、そのユーザーが興味を持つであろうジャンルを結びつける技術になってくると思いますが、当時は有力なロジックの候補が二つ、三つと挙がっていました。選択肢が複数あること自体が大きな価値だと思っていますし、さらにそのなかから途中で差し替えや試行を繰り返しながら最適化していくことができました。通常であれば、複数ロジックを考案し、それらを同時並行で動かし、差し替えを行いながら精度を高めるPDCAプロセスには3か月ほどかかります。それが今回は数週間で一気に進められました。この短期間での実現は、非常に大きな成果だったと思います。

同じ目線で課題・目標に戦略的にコミットしてくれる、専門家集団のパートナー

ー現在、皆様のチームでは弊社の技術支援をどのように活用されていますか? 日々の業務での関わり方について教えてください。

加藤様:週2回の定例会を軸に、密にコミュニケーションを取っています。日々の細かなやり取りは、チャットツールです。単に開発を依頼するだけではなく、私たちが立てた企画の仮説に対して、技術的な視点からフィードバックをいただいたり、逆にwerollさんから最新技術などをご紹介、ご提案いただいたりすることも多くあります。まさに二人三脚でプロジェクトを進めている、そんな感覚です。

インタビュー風景

ーこれまでの連携のなかで、特に印象に残っているエピソードや、弊社チームの対応で「パートナーとして頼りになる」と感じた瞬間があれば教えていただけますか?

加藤様:直近で言いますと、記事のレコメンドシステムを大幅に刷新するというプロジェクトがありました。期日内にリプレイスを完了しないと、多額のシステム継続費用が発生するという状況で、私にとっても非常に重要かつプレッシャーの大きいミッションでした。そのなかで、werollさんには非常に能動的に取り組んでいただき、数多くの提案を交わしながら何とか乗り越えることができました。ロジックの構築とインフラ整備の両面で高い難易度がありましたが、無事に完遂し、大きなコスト削減を実現できました。

ー貴社チームにとって、弊社サービスはどのような存在でしょうか?

工藤様:一言で表すと「チームに欠かせない専門家集団」です。単なる技術アドバイザーという第三者的な立場ではなく、私たちと同じ目標に向かって共に走っていただける存在です。チームの一員として、まさにワンチームの感覚で取り組んでいます。

ー弊社チームとの日々のコミュニケーションや連携はいかがでしょうか? 率直なご意見や、特に評価いただいている点があればお聞かせください。

加藤様:コミュニケーションはとてもスムーズで、ストレスなく連携できています。特に専門的な技術の話は、私たちビジネスサイドには理解しづらい部分もありますが、そうした点についても非常にわかりやすく丁寧に説明してくださいます。技術的な背景をしっかり理解した上で安心して意思決定ができるため、とても心強い存在です。

ー弊社の技術支援を活用して、今後はどのように事業を展開していきたいとお考えですか?

加藤様:実装いただいたレコメンド機能は現在、dメニューで活躍しています。dメニューは社内でも非常に大きなメディアですが、ドコモグループ内には他にも、お客様との接点が多いメディアが多数あります。今後はこれらのメディアにもレコメンドシステムの横展開を進めていきたいと考えています。
dメニューでは良いおすすめができていても、他のメディアでその表示にばらつきがあるとユーザー体験は損なわれてしまいます。重要なのは、お客様がどのメディアでドコモに触れても、自分に合った良い情報や必要なおすすめを受けられることです。ですので、横展開を進めることによって、ドコモ全体のサービス価値向上につなげていきたいと思っています。

ー他メディアへの横展開を進める中で、レコメンド精度のさらなる向上も重要になるかと思います。その点で、AIを活用してパーソナライズを深化させるといったお考えはございますでしょうか?

加藤様:ユーザー接点におけるAI活用としては、現在レコメンドロジックの展開の実証を進めており、順調に進めば今年度中の展開も視野に入れています。また、業務効率化の面でもAI活用は日常的に浸透しており、開発プロセスにおいても積極的に取り入れられています。こうした取り組みが、サービス向上と生産性の両面で成果につながりつつあります。

ー弊社に対して今後どのような役割やサポートを期待されていますでしょうか?

加藤様:ドコモとして今後も、多角的な視点をもって開発に取り組んでいきたいという想いがあり、そのために業界の最新情報や、競合他社さんの最新動向もしっかり捉えていきたいと考えています。それらを踏まえた、より戦略的なレベルでのご提案を積極的にいただけると嬉しいです。
すでにそうした動きもしていただいていますが、ドコモ社員が会社全体の戦略を考えるうえで、どのようにレコメンド機能の拡充を進めるか、同じ方向を向いて一緒に戦略的な視点で考えていただけるとありがたいです。

ー最後に、貴社と同じような課題を抱える企業のご担当者様へ向けて、アドバイスやメッセージがございましたら、お願いいたします。

加藤様:社内だけで施策を進める方がスピード感があるという企業も、当然あると思います。しかし、外部の専門家の力を借りることは、事業を加速させるうえで非常に有効で、必要不可欠な選択だと考えています。重要なのは、単に要件を伝えてノウハウを提供してもらう技術の切り売りではなく、事業の成功やゴールを共有し、共にコミットして伴走してくれるパートナーを見つけることです。werollさんとはそのような形で取り組みを進めることができると思いますので、まずは相談し、詳細を見ていただくことをおすすめします。